「仕事のやりがいとは何か」を読む

英語の勉強を兼ねて、よくTEDの動画を見ている。

面白いものを見つけたので、感想を残しておきたい。

ダン・アリエリー「仕事のやりがいとは何か?」

 

ダン・アリエリーという人物について

ダン・アリエリーはアメリカ人の行動経済学と心理学の学者である。

行動経済学とは

経済学数学モデル心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法である[1][2][3][† 1]

(wikipediaより)

 

お金が人を動かすの?

現代社会は資本主義経済のもとに動いており、労働に対してその対価としてお金が支払われる。多くの人が、お金を支払えば人を自由に動かすことができるという世界観の中で生きている。ダン・アリエリーはこの考え方を、「驚くほど単純」だと言い、なんだか皮肉っぽい笑顔を浮かべる。

 

 

人のモチベーションをなくすもの

ある日、アリエリーのもとに教え子がやってきたときのエピソードを紹介している。彼は銀行に勤め、ある大きな仕事を任されていたが、締め切りの直前でその案件がキャンセルになってしまった。意欲的にその仕事に取り組んでいたのだが、その仕事が無駄になってしまったことを知ってひどく落ち込んだという。

・実験

アルファベットがランダムに羅列されて書かれた紙を配られる。配られた紙のうち隣り合った同じアルファベットを見つけてもらうという簡単なゲームを解いてもらい、1つ解くとその出来にかかわらず報酬が得られる。紙を回収したのち同じゲームを何度も繰り返すことができる。ただし少しずつ報酬が少なくなる。被験者がいつこのゲームを降りるかで、被験者のモチベーションの高さを測る。

ここで、3つの異なったシチュエーションを用意して、その結果を比較した。

A、人に見てもらえる状況

実験者が受け取った紙を、上から下までよく見て、しっかりとした反応を示したのちに、受け取った紙を横に置く。

B、人に無視される状況

実験者が紙を受けとったらそのまま紙を横に置く。

C、シュレッダーの状況

実験者が受け取った紙をそのままシュレッダーにかける。

結果は以下のようになった

 

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数値が高いほど、早くゲームを辞めてしまった。つまりモチベーションが低かったといえる。

 

ふつうに考えてもわかるような結果だが、アリエリーはBとCの違いが小さいことに注目している。自分の仕事の成果が人からの関心を得られないと感じることは、仕事の成果がこの世から全く消え去るのと同じくらいに、人々からモチベーションを奪うのだ。

もし人間が、楽してお金を稼ぐことのみを求める生き物だとしたら、Cの状況が最も都合が良いことになる。なぜなら、実験者が紙を一切見ないのであれば、そのタスクをちゃんとしていようとなかろうと関係がない。いくらでも手を抜けるのである。

 

人のやる気を引き起こすもの

逆に人のモチベーションを呼び起こすにはどうすればいいのか。一つの方法として、自分の仕事の成果への実感を利用することだ。

イケアで家具を買ったことがあるだろうか。パーツを買ってきて、自分の家で組み立てる。普通の家具に比べてひと手間かかるものの、逆に出来上がったものに愛着を感じる。そんな経験を持つ人は多いはずだ。

似たような例としては、ホットケーキミックス。発売当初は水を入れるだけでケーキの生地ができちゃう商品として売り出されたが、全く売れなかったそうだ。そこで開発者は、卵と牛乳をその粉から取り除いた。これで今のような人気商品になった。

・実験

折り紙を用いた実験を行った。ある人に折り紙を作ってもらい、その折り紙に自分で値段をつけてもらう。その折り紙をまたほかの人に見てもらい、値段をつけてもらう。2つの値段を比較する。折り紙を作る際に、説明書を与えるのだがそこに少し細工をした。

A、折り紙の作り方がすべて書かれた説明書を与えた。

B、書かれている図を消した説明書を与えた。

簡単に言うとAよりBのほうが困難な状況なのである。当然、Bのほうが出来上がったものはより完成度の低いものになる。

結果は、Aでは製作者の値段が、第三者の評価額の5倍になり、Bではその効果がより大きくなった。製作者は、客観的に見てより不格好な折り紙に対して相対的に高い値段を付けた。なぜか。それは自分が苦労した度合いが大きいからである。自分が苦労した分だけ、出来上がったものに対しての評価が上がるのだ。

 

感想

まあとにかく、人に評価されること、物事に対していかに自分が貢献しているか実感できるか、ってことはとっても大事なんだということです。何となくみんなが感じているような迷信めいたものに注目し、実験を経てずばりと客観性を与える。心理学とか人間の感情を相手にする学問は楽しそうだなと思いました。

この、ダン・アリエリーのニヒルな笑みがすごくかっこいい。いかにも何かを知っていそうで、何となく世の中を斜めに見ている感じ。こういう実験をしていると、どれだけ人間が単純な生き物かってことがわかるのかな。なんていうか、愚かに見えたりするのかもしれない。勝手な想像ですが。

 

この教訓をどう活かすか

この話を聞いてまず思ったのが、趣味を公開することの大切さ。例えば読書をするのであれば、ブログなんかを書いてみるのもよし。自分のモチベーションを高めるうえで、人に見せることは非常に大切なんだなということが分かります。

私は、いろんな考えをブログという形で披露することが大切なのではないかと感じてブログを書き始めました。