「人生は運よりも実力よりも『勘違いさせる力』で決まる」を読んだ

 

 

ブログなんかでよく見かけるこの本を読んでみました。かわいいキャラクターと読みやすい文章で、サクッと2時間ほどあれば読めてしまいます。この本で、ビジネスの成功に必要な要素は何かを改めて考え直すことができます。一度は読んでみるべし。

 

「実力があれば評価は後からついてくるよ」なんていう意見をよく聞きます。黙々と努力をして得た実力は、必ず日の目を見ることができる。非常にすっきりとしてきれいな世界観です。もし本当にそんな世の中だったら、だれもが成功を信じて努力に向かうことができる素敵な世界になります。

しかし一方で、社会という厳しい世界では努力が報われるとは限らないと誰もが知っています。「努力は報われる」なんて言う言葉は、人を努力に向かわせるための建前でしかないのです。

 

キーワードは「錯覚資産」

じゃあ、成功するために大切なこととは何か。この本に聞いてみましょう。

人生の成功に必要な要素の一つ。それは「錯覚資産」です。聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと、人間の評価と実力のギャップのこと。人が実力以上に評価されるとき、その差額分を「錯覚資産」と呼んでいます。そして大切なことは、実力のうちに占める「錯覚資産」は、皆さんの想像よりもはるかに大きいということです。

 

「錯覚資産」が実力になる

「いかに人をごまかすかって話?いくらうまくやっても、いつか化けの皮が剥がれるよ。」そんな意見が聞こえてきそうです。けど、「錯覚資産」によって真の実力を手に入れることができると言ったら、話が違ってくるでしょう。

実力がなくても、「錯覚資産」を上手に運用し評価が高くなった人には、「環境」が与えられます。これが非常に重要で、その「環境」を与えたれた人間は、周りの人から知識を得たり、挑戦する機会を得ることができます。新しい経験を積むことができ、それまでの自分よりも成長することができるのです。そのスピードは「環境」に恵まれることなく、自分なりの方法で成長した場合よりもはるかに速いことは想像に難くないでしょう。

 

理想のループが出来上がる

こうして得た実力は、次なる成功につながります。この成功によって「錯覚資産」を増やすことができます。このようにして、また次なる「錯覚資産(→評価)→環境→実力→成功→錯覚資産」のループが始まります。実力ももちろん大切ではありますが、錯覚資産をないがしろにしていてはなかなかうまくいかないということが分かったでしょう。

 

ふろむだ氏のビジネス観

「ビジネスがうまくいくかどうかは運である。」けっこう身も蓋もないことを言っています。結局、確実に成功する方法なんてないと、そういいたいのでしょう。僕らにできるのは、成功確率を高める努力だけなのだと。まずはこの事実を認めるところから始まります。決して実力だけではのし上がることができないと知った上で、自分に何ができるのか戦略を立てる。例えば、いろんな人に出会うこと。そうすることで、仕事を回してもらえる回数が上がり、成功に近づく。同じ打率でも打席に立つ回数が多ければ、ヒットをたくさん打つことができる。それでいいのです。

 

みんな錯覚の中で生きている

多くの人が、自分が他人に正しい評価を下す物差しを持っていると信じています。また、ビジネスの成功は自分の努力次第で何とでもなると思っていたりもします。でも、物事を正しく見ることができないのは、その人たちが愚かであることが理由ではありません。人間とはそういう風にできているのです。犬が人間のように二足歩行できなかったり、ゴリラが言葉を操って自分の思いを形にすることができないように。人間が直感で物事を考えるときには、常に間違いが付きまとうのです。

 

錯覚を武器にする

人間が錯覚する生き物であることを知った僕たちには、2つ、できることがあります。

1つは、錯覚を使って人を出し抜くこと。他人と良好な関係を築くのに、正しい作戦をたてることで、自分の評価をしっかり高めてやりましょう。

もう1つは、正しく選択することができるようになること。あなたも人間である以上、この錯覚からは逃れることができません。でもその事実を飲み込めば、自分の直感がずれていることを考慮に入れたうえで物事を判断することができるのです。

 

最後に

今までに述べたような内容について、この本の中ではさまざまな心理学の実験を引用し、だれもが納得できる形で書かれています。科学的事実と実際の現実をうまくつなげていることが、説得力につながっているのではないでしょうか。

心理学を利用しようみたいな趣旨の本においては、他人から自分がどう見えるかについての内容がほとんどですが、自分から見た世界も錯覚があるのだという観点は斬新でした。

そして、この本で書かれているような世界観がすべて正しいとは思いません。僕自身は、隠れた努力が認めらたり、もっと泥臭い方法で成功したりと、この本とは違った成功もあると思っています。ただ、成功という目的地に対しての道のりが一本増えた感じがします。成功への道は、多いほうがいいでしょう。自分で歩きやすい道を選ぶことができますし、ある道がふさがれたとしても、ほかの道に迂回することができます。そういった意味で、この本のような考え方を自分の中に取り込んでおくことは、価値のあることなのではないでしょうか。